強引上司のターゲット
「美味しい!美味しいです!」
「これホント美味しい!」と連発するあたしは、イタくないだろうか?
モグモグと必死に口を動かすあたしは、イタいに決まってる。
公園の他にも歩いて周ったせいであっという間に夜になって、課長がご馳走してくれると言って連れてきてくれたのは、ホテルに入ってるフレンチレストラン。
まだお店をよく知らないからと言いながらチョイスされたこの素敵な場所で、あたしは思いっきりイタい女になっている!
「今日は良く食うな!?」
この前は少食に見えたけどと優しく微笑む今日の課長は、どこまでも優しい。
今までも優しい顔は見たことあるけど、ここまで穏やかな顔は初めて。
だけど、あのドキッとするような企んだ笑顔も、口角を上げてフェロモン丸出しの悪い顔も本当は嫌いじゃない。
強引なところだって、今思えば全然嫌いじゃないのに。
「ご馳走さまでした!本当に美味しかったです!」
「あぁ。見てて分かったよ。っはは!」
約一時間の食事を終えて駐車場までの途中にお礼を言っていると、前から来る男性にハッとした。
……っ!!!
こんな偶然って現実にあるんだと妙に納得してしまう。
だって、この前も見かけた。
あたし、すごく泣いた。
あたしが好きだった人。
元彼だ。