強引上司のターゲット
新庄さんの話では、あたしが新庄さんの担当になって初めのうちは、不安だったらしい。
仕事できるのか?
すぐ泣くんじゃないのか?って。


「でも、どんなに仕事が多くても、キツい言い方をしてしまっても、寺谷さんは文句も言わずにひたすらこなす。俺に迷惑かけないようにって思ってくれてたんだろ?それ、結構感じてたんだ。
……だから好きになったんだ。」


もともと普通にしているつもりでも怖がられてるのは知ってたから、寺谷さんみたいな子には驚いたよ。と、あの目力のままサラッと言っている。


淡々と、でも強い目で、あたしを好きになった理由とやらを言われるのは…
すごく、恥ずかしい。


全く恥ずかしくなさそうな新庄さんの分まで恥ずかしい!


お酒のせいで赤かった顔は、新庄さんの言葉攻めに湯気が出るほど熱くなっていく。

この熱をどうしようと手で扇いでいると、ロックのウイスキーを一口飲んだ新庄さんが、とんでもないことを言った。


「仕事にはやり甲斐を感じるから、時間はそんなに無いかも知れない。
でも、年収はそこそこある。」


え…。


「専業主婦でもいいし、仕事をしてくれても構わない。」


何言っ……?


「子供は、育児に協力する時間が無いからそっちの希望に合わせる。」


………?

新庄さんらしく、ない。
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