強引上司のターゲット
お店を出て、駅へ向かいながら思う。

こうするしかなかった。
こうするしかなかったけど、新庄さんの顔思い出すとやっぱりちょっと…悲しくなってしまう。


あたしが断ったタイミングを見計らうかのように来たバーテンさんが、「俺の出番だね〜!」とかる〜いノリで新庄さんをカウンターに連れて行くのと同時に、あたしも失礼した。


「また月曜日」


そう言って手を上げてくれた新庄さんの表情は、いつもと同じようでいて少し違った。
でも…でもきっと大丈夫。
また月曜日から頑張れる!




ブーブーブー
ブーブーブー



ふと、携帯のバイブが震える音がして慌ててバッグから取り出すと、画面に表示されてる名前に「えっ?」と声が漏れた。


なんで…信じられない……


【かちょお】


そう。
課長だ。

手の中で震える携帯を見ながら思い出したのは、課長と出かけた思い出の公園でのやり取り。


『課長?!固いって!でも、光くんじゃあちょっとなぁ。そうだ!』


知らない番号だと困るからと名前を登録をした時に、課長があたしの携帯を取り上げて自分のことを【かちょお】と登録したんだ。


ブワッと一気に込み上げてきた涙を拭って一呼吸した後、立ち止まったまま電話に出た。
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