不機嫌主任の溺愛宣言


自分の指の動きに反応して彼女が甘い吐息を零すたび、忠臣は吹き飛びそうになる理性を必死で繋ぎとめた。

「……あ、っ……」

控えめに恥ずかしそうに小さく零れる上擦った声は、心惑わす魔法のように彼の耳に届く。声だけじゃない。吸い付くようなしっとりとした肌の質感が、羞恥で閉じていた瞳が切なく開かれる瞬間が、薄く開いて吐息を漏らす桃色の唇が。忠臣の理性の壁をたわいもなく崩して行く。

「一華……」

忠臣は彼女の身体を愛でながら、無意識に何回も名前を紡ぐ。抑え切れない愛しさが溢れ出んばかりに。

彼女の全てに口付けたいと云う想いでキスを綴り、淫らに反応した箇所には繰り返し愛撫した。やがて、絶え絶えに乱れていく一華の呼吸。全身が熱く火照り、肌が上気を帯びて赤く染まっていく。

「……忠臣さん……、私、もう……」

瞳に涙を浮かべて恥ずかしそうに告げる一華に、彼の支配欲が更に煽られた。

――何度でも気持ち良くしてやりたい、この俺の手で。どこまでも乱して、一華自身でさえ知らなかった悦びを目覚めさせてやりたい。そして――俺しか知らない顔を見せて欲しい……

男としての欲望を全て曝された忠臣は、忠実に、とめどなく、それに従う。もともと頭の回転が速い男なのだ。一華が触れられて悦ぶ場所は完璧に抑え、どうしたら素直に声をあげるか模索して動きを覚える。それは、まんまと一華に絶え間ない快楽を与え、彼女は自分を見失うほどに何度もその波に飲み込まれた。

「……もう、意地悪しないで……」

何度目かの波にさらわれた後、一華は涙を零しながら荒い息の合間に訴えた。そんな彼女の愛らしく淫らな姿に、忠臣はついに最後に残った一片の理性をかなぐり捨てる。
 
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