【短】真夏のmystery kiss*+.
この暑さにも負けず、
こんなに元気なのはリョウくらいだ。
「ナツも補習って聞いたから一緒に行こうと思って
迎えに行ったのにもう出たってナツママが言ってたから
追いかけたら間に合った!」
コロコロ変わる髪色は今は明るめのブラウン。
走ってきたからか、うっすら汗をかいていて、
あどけなさの中に男子っぽさがまざって、
その中性的な整った顔は満面の笑みを浮かべていた。
本当に、後ろに大きく揺れているしっぽでも見えそうなくらいのテンションと
輝かしい笑顔。
「あ、ごめんね。
明日一緒に行く?」
「うん!」
小さい頃から、高校生になっても変わらず、
この幼馴染はずっと私に懐いている。
「あっ、紫ちゃんもいる!おはようー!」
「おはよう、遼太郎―りょうたろう―くん元気だねー」
そのまま3人で校舎に着くと、
昇降口に貼り紙がされていた。
「今日の教室割かな」
そう言って紫は自分のとっている夏期講習の教室を
私たちは不名誉ながら補習の教室を探す。
私たちは大きく
『夏期補習→1‐G』
といかにもバカ向けですって感じで
書かれていてすぐ見つけられたけど、
紫の方は、細かい表に書かれていて見にくそうだ。
指で表をなぞりながら、
「あった!」
やっと見つけたらしく
「「2‐Bか」」
すっきりした顔で言う紫の声に低い声が重なった。