【短】真夏のmystery kiss*+.



驚いて、紫の後ろを見ると、

よく知っている人物が。


「大崎―おおさき―くん!」
「真一―しんいち―!」

私とリョウが一斉に声を上げると、

あの頃とは違い背が高く脚も長く、

だけどあの頃から変わらずに制服をきっちり着て、

その人は涼しそうな顔で私たちを見つめた。


「矢上―やがみ―さん、伊田―いだ―、久しぶりだな」


紫だってこの顔は知っているはずだけど、

私たちが会話をしていることに驚いているらしく

彼女は大きな目を見開いて私と大崎くんを交互に見ている。


「あ、紫、大崎くん!……は知ってるか。

実は同じ中学なんだ、私たち」


「そうなんだ!」

私が紫に事情を説明すると

「よろしく」

と大崎くんは紫の方を向いて声をかけた。


「あっ、はい!よろしくお願いします!津浦―つうら―紫です!」

紫は急に姿勢を正して、

その様子がおかしかった私は笑ってしまった。


「ははっ、そんなに改まらなくても」


私が笑ったことが恥ずかしかったのか、

少し頬を膨らませて

「だって、生徒会長様だよ!?」

なんてムキになっている。


「あはは!!生徒会長『様』ってー!!」

私はつい大声で笑ってしまう。

大崎くんに

「俺だって一生徒だからな。

津浦さんも、普通にしてもらえると嬉しいよ」

眼鏡越しでもわかるその整った顔で

涼しそうに笑われて、

なぜか暑くなってきたような気がするのはきのせいだよね。




< 5 / 65 >

この作品をシェア

pagetop