【短】真夏のmystery kiss*+.


4人とも実施教室が西校舎だったこともあり、

一緒のタイミングで歩き出すと、


「失礼しましたー」


途中通り過ぎる職員室から、

人が出てきたところでその人とバッチリ目が合ってしまった。


「おー、矢上!」

「本山―もとやま―も補習?」

たくさんのプリントを持っていたからそう聞くと、


「俺はお前とは違うからな。

部活だ、部活!」


と諭すように頭に手をのせられる。

背の高い本山に上から押し付けられると背が小さくなりそうで

「うー」と下から睨み返すと

まっすぐ見つめられてしまった。


サッカー部を頑張っているらしいだけあって、

しっかりした身体つきの爽やかで端正な顔に見つめられると

なんだかカァーと暑くなってくる。


そのまま動けないでいると、

本山が私にのせてた手をふっとどかして


「永斗―えいと―も暑いのに大変だなあー!!」

とリョウが本山に絡み出した。

「そういえば、サッカー部は先日惜しかったですね」

大崎くんも私の前にサラっと入って本山に話しかけている。


なぜか一気に本山との間に2人が入って押し出されると、

紫が

「あの人って、サッカー部のエースって人だよね?」

とこっそり耳打ちをしてきた。


「え、そうなの?」

そういうことを全く知らない私が聞き返すと、

「知らないって、夏愛、彼と何繋がりよ」

怪訝な顔つきでまた質問される。


「本山はバイト先の常連なんだ!」

私がバイトしている家と学校の間くらいに位置するファミレスに

そこが地元らしい本山はよく通っていて、それで顔なじみになった。


「なるほどね」

なんて会話していると

前のみんなは話し終えたらしく

本山は私たちに

「じゃあなっ!あ、矢上!俺今日も多分行くよ!」

なんて話しかけて私が来た方向に走っていく

「じゃあ私今日も入ってるから、後でねー!」

最後に見えなくなりそうなところで叫ぶと

聞こえたらしい本山が手をひらひらーとさせていった。



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