【短】真夏のmystery kiss*+.


「夏愛、職員室前だよ!」

「あ、やば!」

なんて言いながらも、ぞろぞろ4人で移動する。


先に3階につき、2‐B教室があるその階で紫と大崎くんは行ってしまった。


「ナツ、永斗となんで知り合いなん?」

2人になってから、

さっきの紫と同じことをリョウから聞かれて

同じように答えると、

珍しく大人しいトーンで「ふーん」とだけ言った。


そのあとは私たちも教室について、わけのわからん補習を受けて、

おわった後はぐったりしていたら、

駅で会った時一緒に帰ろうと言っていた紫から

メッセージが入った。


【ごめん、先生に質問したいところできたから

なつめどっかで少し待ってて!】


真面目な紫メッセージに笑っていると、

「ナツ!俺と一緒に帰――「えーっと、伊田!ちょっとこの後職員室来なさい!」

私に話しかけようとしてたリョウが

学年主任の先生に名前を呼ばれた。


「リョウ、呼ばれてるよ?」

何の用だったのかわからないけど、

もしリョウが私に用事があるなら

またいつでも聞けるしね。


なんて思って先生のいる方を指差すと、

「えー……」

と口を尖らせる。

お前は子供か、ってくらい、なんだか幼く見える。


「伊田!生徒指導だ!」


だんだんその先生の口調が強くなってくると

なぜか私が怖くなってきちゃって、

「リョウ!今素直に行っておいたほうがいいよ!」

なんて急かすと、

急に真剣な顔をして

「じゃあ後で、ナツ」

なんて言って、たたっとその先生の方へ行ってしまった。


一瞬見せたいつもと違う表情がやけに脳裏にはりついた。


私は変な気持ちを払拭するために、

そして紫を待つために、

未だ冷房の効いているこの涼しい教室でここから動かず

スマホをいじりだして、

そして、ついに……――





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