【短】真夏のmystery kiss*+.
#suspect1 遼太郎
――「夏愛ー、起きてー、私来たよー?」
頭上では紫の声が聞こえる。
……実は起きてる。
ていうか混乱してる。
どうしよう、今のは夢?それとも現実?
状況がわからなくて、反応を取れないでいると、
「夏愛ー?……もう。
そういえば、今この教室から出ていったの誰だろ?」
なんて紫の言葉が聞こえて
夢じゃなかったんだ!!!
そう思った勢いで、
ばっと体を起こす。
「うひゃあ!!」
急に起きた私にびっくりしたらしい紫の奇声は置いといて、
「紫!!今言ったのほんと?」
私は紫の方を向いて今の言葉の確認をとる。
しばらく寝ていて喉が乾燥したのか、
私の声は少しかすれていた。
「……え、『今言ったの』って?」
紫が引き気味になっているのに気づいて、
少し勢いが強すぎたなと思って前のめりの体を引っ込める。
「い、今、教室から誰かが出て行ったって」
そう、その『誰か』が、もしかしたら、
その……まさかの、私に……!!