確信犯
静寂、暗闇の中。
部屋の灯りと、灯籠。
注がれるお湯の音。
外風呂は庭に面していて。
日常から、かけ離れた空間だった。
全身を洗って温泉に浸かると。
カラダに巻いたタオルが、やけに白く浮かんで見えて。
何となく上を見上げる。
空には。
名前の知らない星が見えていて。
自分がドコにいるかなんて、すごく小さすぎるコトに思えた。
「オマエ、髪が温泉の湯にどっぷり浸かってるけどいーの?」
背後から。
私の後ろ髪を匠が掬う。
お湯から匠の長い指に上げられて。
預けるのが心地好い。
優しい気持ちが伝わってきて。
されるがままに、髪を任せた。