確信犯
「秘密なんか抱えてると、心配事が絶えねーだろ」
外風呂を浴びた後。
部屋に用意された晩ご飯を食べながら、寛いだ様子の匠が微笑む。
冷酒が飲みたかったようで、アテ代わりに魚介類をつつく。
この夜の匠は、饒舌だった。
「良い女は何をやっても良い女だ。オマエは何をしても、騙してもいい。オマエなら、俺は構わない」
ご飯が美味しい、くらいの口調で。
吹っ切れたように匠が言う。
「信じねーなら、刺してもいい。俺の心臓はココだ」
匠は着物の襟を開いて。
トントン――と。
自分の心臓を指し示す。
ふざけているのに。
匠の目は、真剣だった。