確信犯
食後のコーヒーを味わって、美濃部は急に立ち上がった。
すぐに私の2人がけのソファー側にやってきて、隣に座る。
「僕は、一ノ瀬美森さんに想いを寄せるただのオトコだよ?」
うっすら、笑って。
でも、本心から笑ってない感じで。
そんな事に気を取られていると。
突然、首筋に痛みが走った。
美濃部が、私を覗き込んでいて。
私の首筋に口唇を当てたと気付くまで、時間がかかった。
警戒心を持っていた相手なのに。
動きが読めなくて戸惑う。
ピリッ、とした痛みは。
彼が口元に生やしている髭で。
時間が経つほど、感覚を刺激した。