確信犯
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「貴方は何者ですか?」
喫茶店で、向かい合った男に問いかけながら。
私はお茶を飲んでいた。
掴みどころのないこの男は。
美濃部(ミノベ)、といった。
一ノ瀬さんがパートで勤める建築会社の、設計士。
白澤有雅会長の株が、3分の2の保有率から、3分の1になった。
そんな噂と共に、浮上した人間。
美濃部だけ、ソファーに躰を埋もれさせながら。
淡々と、食事を摂っている。
私の質問にも答えず。
「食後のコーヒーはサイコー」
などと呑気な言葉を呟いて、サスペンダーを引っ張った。
緊張感を感じさせない気配。
その事が却って、緊張を煽る。