確信犯
その時。
会長室に電話の音が鳴り響いて。
白澤有雅が電話対応したあと。
政宗を見つめた。
「少し時間に余裕ができたそうだ。政宗。八重を捕らえておけ」
白澤有雅の言葉に。
政宗が動く。
ハッ、として。
逃げようとしたのに。
あっさり両手首を押さえられて。
背後に回された私の両腕は、何かで纏めあげられてしまう。
政宗は。
近付けばもう、とても大きくて。
力で勝てるワケがなかった。
「隣の部屋へ」
白澤有雅が命じると。
政宗が最初、入ってきた小さめのドアへと押しやられて。
うまくバランスが取れないまま、
私はドアの向こう側へ倒れた。