確信犯
「合格祝いと仰るなら、この部屋に宿泊させて下さい。一人で」
“一人で”、という言葉に。
力を込める。
ビジネスホテルは。
引き払ってしまったし。
この高級ホテルじゃ。
他の部屋だって。
宿泊費が、バカにならない。
恐らく、匠の。
自腹だろうスイートルームに。
泊まってやろうと思った。
「お前、さ」
ワインのボトルを掴んで。
どんどん、グラスを飲み干す。
空きっ腹の身体に。
ワイン独特の香りが広がって。
「も少し、キラキラできねぇの?」
何となく。
失礼に感じた言葉に。
滞らせていた諸々の感情が。
膨張し始める。