確信犯



ああ――


失敗、した。






ぐるぐる。


キモチが回る。






吐き出したばかりの。


言葉を取り戻したくて。






「俺より、屈折してんの?」






つり上がった口角は。


あの夜、見上げた形をしていて。






「なんでもっと早く、知り合えなかったんだろうな」






その、匠の言葉に。


胸を。


抉られた感触がして。






噴き出したのは。


感情じゃなくて。


血だったんじゃないかと思えた。






――もう


イタくて


イタすぎる





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