私と上司の秘密
私は、課長の向かい合わせに座った。


ふと、昼間の『ユキとワタル』のことを
思い出す。


すると、課長は、

「どうした…?」

と、私の顔をのぞきこむように、心配そうに
聞いてきた。


今まで、誰にも話したこともない
『ユキとワタル』ことを誰かに聞いて
欲しくて、課長に、話した。


大学時代のこと。


親友、ユキのこと。


付き合っていた、ワタルこと。


結局、ユキにワタルを取られたしまったこと。


「私だけを想ってくれて、私もその好きな人
ただ一人だけのことを想って、そんな恋愛が
したいなあ…。」

課長は、何も言わず、私の独り言にも思える
話しを最後まで聞いてくれた。


私が、話終えると、私の隣に来て、私を課長の肩に引き寄せ、優しく頭を撫でた。


それだけの課長の行為にも関わらず、そして、私の話を聞いてもらい、だだ、それだけで、
胸にずっと、つっかえていたモヤモヤした
気持ちが、軽くなった気がした…。


それに、『ユキとワタル』のことは、私の中でちゃんと、過去のことになっていた。


実際、ワタルに今日、会って、そう確信した。


課長は、

「凛は、そいつ、ワタルってやつに、まだ、
未練、あるのか?」

と、尋ねてきた。


私は、左右に首を振りながら、

「もう、とっくに、吹っ切れてますよ。
今日会って、確信しました。
今度は、私のことだけを見てくれて、
私のことだけ好きでいてくれて、
私のことだけを想ってくれて…。
そんな人がいいです。」

私は、明るく振る舞いながら、本心を言った。


「そっか…。」

それ以上、何も言わなかった…。
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