私と上司の秘密
「凛、下ばかり向いていると、車に酔うぞ。」

会社で注意をされる、強い口調ではなく、
優しく促され、頭を上げた。


課長は前を向いて、運転していたが、
笑顔だった。


私は、シフトレバーに置いていた課長の左手を
自ら自分の右手で軽く握った。


すると、課長は、私の手を強く握り返して
きた。


「そうだ、凛は、仕事でそそっかしいとこ
ありまくりだけど、もう少し、見直しして
慌てず慎重にしたら、俺は、いいと思うん
だけどな。」


ちょうど、信号で車は停車して、ハンドルを
右手で持ったまま、その上に顎をのせて
呟いた。


視線は、前を向いたまま、遠くを見ている
みたいだった。


「はい、そうしてみます。」


会社での課長へ話す口調みたいになって
しまったような気がする…。


「正直な意見だからな。」

私を見て、真顔で言った。


「はい…。」

一言、私は返事をした。


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