私と上司の秘密
すると、課長が、いきなり、私の足元に
膝まずいた。


あの冷静沈着で厳しい課長が、女子達から人気者のあの課長が、私の足元に膝ま付いている。


…そんな状況はあり得ない!


絶対にあり得ない。


「私は、夢を見ているんだろうか?」


私は、そんなことを考えながら、課長を見つめていた。


すると片手で、ネクタイの結び目を手際良く緩めて外し、近くのテーブルの上に放り投げるように、置いた。


と同時に無言で自分の顔を私の脚に近付け、
頬擦りしながら、片方の手で、触りだす。


まるで、愛しい飼い猫でも触るように…。


時折、私の脚に課長の息の感触が触れる。


ゾクゾクした得体のしれない感覚に襲われる。


それが酔いによる高揚感か何か分からない。


思考回路が停止状態で身動きが取れず、固まっていると、

「この脚、落ち着くなあ、仕事の疲れも
忘れそうだ。」

今までに見たことのない幸せそうな課長の顔が
そこにあった。


いつも仕事に厳しく何でも完璧にこなし、私に注意している、あの課長と同一人物とは、
とても思えない…。


そんな課長の姿を見ていると、私しか知らない
課長を見たようで、妙な満足感が湧いてきた。


『今、私の前にいるこの課長は、素顔なのか、本性か、それとも別人なのか…。』

分からない。
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