私と上司の秘密
「この前、大学時代の話、しましたよね。」

「ああ。
その時の、まだ、気になるのか。」


「ちっ、違います。」


思いきり、手を左右に振り、否定した。


「じゃあ、何で?」

不安気な顔をして、聞いてきた。


「私のこと、好き、ですか?」


「当たり前だ!」

私の背中に手を回して、 課長の胸の辺りに顔を
引き寄せてきた。


引き寄せられた私の頬に、課長の心臓の鼓動が聞こえた。


「私と一緒。」

「…えっ、何が?」

「心臓の音、早いです。私と一緒です。」

「凛のこと好きだから、いるだけで、
ドキドキするんだよ。
年甲斐もなくな。」

課長は、片手を離し、照れたように髪を
かき上げた。


「嬉しいです。」

私も課長の背中に大胆に両手を回して更にぎゅっとくっついた。


「私も、好きです。」

上を向いて、課長の顔を見ると、目を細めて
垂れ目気味になりながら微笑んでいた。


< 206 / 299 >

この作品をシェア

pagetop