私と上司の秘密
結婚式が始まり、私は父とバージンロードを感動のあまり、目を潤ませ歩くと、圭介のがこちらを見つめていた。


先程と同様に、目尻を下げて口元を緩めながら見ているのが遠くからでもよく分かった。


佳境に入り誓いのキスになり、圭介がベールアップをした。


当然ながら軽い口づけを想像していた私だが、

『・・・!!!』

私の頭を強く押さえ動けないように拘束され、
深い口づけ、濃厚なキスを強要されるように、されるがまま長い時間が流れたように感じた。


一瞬、背中の方で参列者の人達がざわついた気がしたように思えた。


「ちょっと、何をするんですか?」

周りに気付かれないように、小声で圭介に話す。


すると意地悪な笑みを浮かべ、

「後でしてあげるって言っただろう。
だから、宣言通りしただけだよ。」

と何の悪気もなさそうに言ってのける。


『確かにそんなこと、言ってたような気がする。』

…、気がするけど、まさか、…ま・さ・か、こんな時に、こんな場所で、するとは、まさか夢にも思ってはいない。


多分、いや、絶対に、周りの人達も、きっと私と同じことを思っているに違いないはずだ。


私は神父さんの顔を恐る恐る見てみると、案の定、呆れ気味でぽかーんと口を半開きにして、私達を見ていた。


私は恥ずかしさのあまり、この後、なるべく神父さんとは目を合わさないようにした。


このことと、前日、凛が眠っている時に気付かれないように、圭介が付けた赤い華がうなじに散りまくっていたことは、参列した人のちょっとした伝説になっていることに、幸せを噛みしめていた凛は知るよしもなかった…。

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