私と上司の秘密
私は最近、育児の疲れからか、それともただ本当は眠たいだけなのか、テーブルの上で両腕を枕にし、少しウトウトと居眠りをしていた。


『結婚式の時のことの夢を見ていんだ。』


今でも、あのことを思い出すと、恥ずかし過ぎて堪らない。


「ママーッ、ただいまーっ!」


後ろからから呼ぶ声がして、姿勢を正して振り向いた。


3年前、無事に産まれた圭介との子供、『瑠璃』が私を呼ぶ声だった。


見ると、瑠璃が圭介に肩車をしてもらい、足をバタつかせ、無邪気にはしゃぎながら喜んで一緒に帰ってきた。


瑠璃が産まれる時、分娩室で、オロオロし挙動不審な行動をとりながらも、ずっとずっと手を握っていてくれて、陣痛がくる度に、背中をずっと擦ってくれていて、出産で入院してから産まれるまで、ずっとずっと圭介は、仕事を休んで傍についていてくれていた。


出産すぐに、瑠璃と初対面を果たし、瑠璃の顔を見た直後、目尻を下げながら、

「凛に似て、可愛いな。」

と私に話す。


産まれた後も育児にすごく積極的で、世に言う『イクメン』と言うものだった。


家にいる時は、オムツも替えてくれたり、お風呂にも入れてくれる。


勿論、仕事が休みの時は、いつも瑠璃遊んでくれる。


ただ圭介は、瑠璃にもかなりのベタぼれの親バカ状態で、舐めるまわすような食べてしまいそうなくらいの勢いで、瑠璃にキスをしまくっている。


「ちょっと、やり過ぎなんじゃない?」

と私が言うと、

「凛、子供に妬いているんだ。
可愛いな。」

と意地悪な笑みを浮かべる。


『確かに、少しはあるかも知れない…。』


私は、羞恥で正直には話すことが出来ず、

「…そう言う意味で言っているんじゃ…。」

と言おうとすると、瑠璃がせきをきったように、

「瑠璃ね、瑠璃ね、パパとね、公園で、お砂場遊びして、それから、ブランコして、それから、それから…。」


私に話したいことがいっぱいあるのか、息を切らせながら話していた。


瑠璃の後ろに立っていた圭介を見ると、終始微笑んでいた。


その圭介の頭の上には、木葉が付いていた。


どこで付けてきたか分からないが、思わずクスリと笑ってしまう。


「…何が可笑しいんだ。」

笑ったことに理解出来ない圭介は、私に不満気に聞いてきた。


「頭に葉っぱ、付いているよ。」

私は指を差しながら圭介に教えた。


圭介は自分の頭に手をやって払いながら取ろうとしていたが、なかなか取れない。


「どこに、付いている?
分からないから、凛、取ってよ。」

そう言いながら、私の方へ来た。


私が背伸びをしながら取ってあげようとすると、私のお腹の辺りを両腕で抱き上げる。


「これなら、ちゃんと取れるだろう。」

「そんなこと、しなくてもちゃんと取れるって。」

私は足をバタつかせ降りようとするが、それを全く許してくれない。
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