記憶ノ時計
みぃちゃん
次の日、私はどうも涼馬と怜馬の会いづらくて、起きても部屋にこもっていた。


斉木さんが起こしにきたけれど、頭が痛いからと言って朝食は自分の部屋で食べた。


涼馬たちが心配そうにしていたらしいけど、風邪をうつすといけないからと言って部屋に入れなかった。


「はぁあ………」


大きなため息をついて私はベッドに寝転ぶ。


涼馬の笑顔を見たとき、怜馬のきれいな顔がすぐ近くまで来たとき。


ドキドキしなかったと言えばウソになる。


でも…。


「二股してたなんて最低じゃん私ぃぃぃぃ!!!」


私は枕をボカボカと殴った。


ピリリリりリ ピリリリリリ


どこか聞き覚えのある音が響いた。


私はゆっくりと顔をあげ、音源を探す。


すると、ドレッサーの前にピンクのスマホが置いてあり、それから音が出ていた。


私はベッドから降りてそのスマホの近くまで歩いていく。


…これ、私のスマホかな?よく見れば、「ayana」の文字のストラップもついてる。


そして、画面には『みぃちゃん』と表示されていた。


「みぃちゃん…」


その名前は初めて聞いた。私の友達なのかな…。


私が電話に出るのをためらっていると、着信音はピタリと止まった。


止まっちゃった…。と思い私がちょっとがっかりすると、今度はシャランと音が鳴った。


スマホの電源を入れると、『新着メールが一件あります』と表示されていた。


おそるおそるメールボックスを開くと、さっきのみぃちゃんからだった。


『怜くんに聞いた!今怜くんの家にいるんだって?今日見舞いに行くからよろしくな!』


「え?!」


やっぱり私の友達なのかな…。


でも、なんか記憶なくなってるの知らないみたいだし、どうしよう…。


私はスマホをまたドレッサーの上に置いた。
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