記憶ノ時計
私が目を開けてから一週間が絶った。


一週間経って今の状況がだんだんわかってきた。


あの男の人たちは入野 涼馬、怜馬という名前の兄弟。


私とはおさななじみという関係。


そして、涼馬は大学2年。怜馬は高校3年生で、私怜馬と同い年だということ。


私の両親は去年交通事故で他界しており、私は一人暮らしをしていたということ。


そして私は2日前、近所の山の崖から落ちてこの病院に運ばれたとのこと。


涼馬と怜馬は、私のために毎日交互にお見舞いに来てくれた。


おさななじみってここまでやってくれるものなのかな…。


「綾那。着替え、持ってきたよ」


涼馬達の家はものすごいお金持ちらしくて、お手伝いさんもたくさんいるから私の下着だったりとかはそのお手伝いさんが買ってきてくれる。


お金の心配はするなって言うけど…。


「ありがと!いつもごめんね。助かるよ」


私は怜馬から紙袋を受け取ってお礼を言う。


「いいんだよ。困ったことがあったらなんでも俺に言え。俺のできる範囲だったらなんでもするから」


「うん。ありがとう」


最初は涼馬も怜馬もかっこよくてドキドキしたりしたけれど、おさななじみということを意識し始めたらあまり緊張しなくなった。


「よかったな。明日退院できて」


「うん。よかった、早く学校復帰したい…けど、入院してたし記憶もなくしてるし、どうしよう?」


すると怜馬は私の頭に手をポンと置いた。


「その点なら心配しなくていいよ。俺が勉強教えるから!」


「で、でも、怜馬が学校行ってる間は…?」


「それも心配しなくていいよ!俺の家のお手伝いに綾那の世話を頼んだから!俺たちが学校に行っている間は俺たちの家でお手伝いと勉強してたらいいよ!」


『俺たちの家で』…?


怜馬はニッコリと笑いかけた。
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