ただいま。
トラックから降りてきた運転手のおじさんが、携帯で救急車を呼ぶ。
その間も一向に唯花の目が覚めることはなくて、絶望的だと思っていた。
でも、事故から4日後、唯花が目を覚ました。
ここでもまた一瞬、息が止まるかと思ったんだ。
本当に良かった、ちゃんと戻ってきてくれて、よかった、と。
今すぐに抱きしめて、謝って、照れ隠しって訳じゃないけど、憎まれ口でもたたいてやろうかと思った。
でも、唯花のことを心配しているのは俺だけじゃなくて、むしろ俺以上に心配していたのは、唯花の母さんだった。
唯花の母さんは俺の鏡みたいに、必死になって唯花に寄り添って、言葉を浴びせて。
俺の番は少し後だなって思った。
でも、この空間にあと2人。
俺と唯花の共通の仲のいいやつらがいる。
宇佐美 潤(うさみ じゅん)と叶 詩音(かのう しおん)だ。
この2人よりは先に声をかけたい願望。
順番が来るまでの間、唯花への憎まれ口を何にしてやろうか悩んだ。
『遅すぎ』とか『やっと起きたのか』とか『馬鹿だな』とか。
そんな意地悪なひねくれた言葉を早く言って、笑いあいたい。
唯花は一向に返事とか返せない様子だけど、唯花の母さん、兄さん、父さん、と続き、そろそろ俺かな、と思ったとき。
「ど、して、みんな・・・」
唯花の弱々しい声が俺たちの耳に届いた。