ただいま。
状況がうまく把握できていない様子の唯花。
まったく、どこまでスロースターターなんだよ。
自分が死ぬかもしれないって境遇にいたってのに。
「唯花、覚えてないのか?」
憎まれ口ではなく、これが俺の第一声になっちまったし。
でも、この後の唯花の反応にもよるけどな。
『うん、ごめん』だとか『あ、事故だ!』って言われた時には『記憶力のなさに驚きだ』なんて言ってやろうか。
・・・いや、結局は謝るのが先だよな。
素直に「唯花、ごめんな」って言うべきところだよな。
今回ばかりは、多分この場だったら。
そう思って、それを口にしようとした。
でも、できなかった。
「ありおか・・・」
「え・・・」
唯花のその言葉がまた、俺の中の時間を一瞬止めた。
俺、このまま心臓止まっちまったりして。
ははは・・・なわけ。
でもそれくらい、衝撃だった。
唯花の口から、俺の名前・・・『有岡』がでてきたから。
「なに、を?」
「唯花、交通事故で車にはねられて、今まで4日間目が覚めなかったんだよ!?」