ただいま。
幼稚園に行くよりもずっと前から一緒にいた。
ずっと『幼馴染』っていう枠の中で過ごしていた。
でも、その枠も十数年してやっと、超えられた。
この中3の夏に、やっと思いを打ち明けられて、やっと両思いだって気づけて、やっと、やっと、名前で呼びあえるようになった。
俺はずっと『唯花』って呼んでたのに、唯花は『有岡』って。
それがもどかしくて、限界を迎えたんだ。
「もう有岡って呼ぶの禁止な」
「・・・めい」
初めて呼ばれた時、俺も唯花も顔が真っ赤だったよな、なんて。
「鳴?」
「あ?」
「帰るぞ」
「あぁ・・・」
いつの間にか病室に担当の先生が来ていて、俺たちは一旦帰ってまた明日来ることになったらしい。
俺はといえば、まったく話を聞いてなくて、とりあえずその波に乗った感じだ。
病室を出る直前、もう一度唯花の方を見て「寝すぎ」とだけ呟いてやった。