ただいま。

幼稚園に行くよりもずっと前から一緒にいた。



ずっと『幼馴染』っていう枠の中で過ごしていた。




でも、その枠も十数年してやっと、超えられた。




この中3の夏に、やっと思いを打ち明けられて、やっと両思いだって気づけて、やっと、やっと、名前で呼びあえるようになった。



俺はずっと『唯花』って呼んでたのに、唯花は『有岡』って。




それがもどかしくて、限界を迎えたんだ。




「もう有岡って呼ぶの禁止な」


「・・・めい」





初めて呼ばれた時、俺も唯花も顔が真っ赤だったよな、なんて。







「鳴?」


「あ?」



「帰るぞ」


「あぁ・・・」





いつの間にか病室に担当の先生が来ていて、俺たちは一旦帰ってまた明日来ることになったらしい。




俺はといえば、まったく話を聞いてなくて、とりあえずその波に乗った感じだ。




病室を出る直前、もう一度唯花の方を見て「寝すぎ」とだけ呟いてやった。


< 15 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop