ただいま。
「唯花の担当の先生か」
ボソリ呟いてまた歩き始めようとしたとき「あ、君!」と目の前で声がした。
看護師さん?
「君、305号室の青葉唯花さんのお友達よね?」
「あ、や、まぁ・・・」
友達、じゃないけど、そういうことで。
目の前の看護師さんは「お見舞い?」とまだ話を続けてくる。
「はい。唯花、起きてますかね?」
「さっき診察したとき、起きてると暇ですねって言ってたわよ」
ってことは起きてるんだな。
「ありがとうございます。話相手してきます」
「そうしてあげて。喜んでくれると思うから」
軽く頭を下げて足を一歩、踏み出したとき。
「君!」
俺、いつになったらその数メートル先の病室にたどり着けますかね?
「はい?」
見れば、さっき俺の目の前を横切って行った唯花の担当の先生だった。
「先生」
「君、ちょっとだけ話を聞いてもらってもいいかな。確か、事故のとき一緒にいたよね?」
「あ、はい。有岡鳴っていいます」
「有岡くんか。お見舞いに来たんだよね。じゃぁ、先に会って来るかい?」
「そう、ですね」
「じゃぁ、あとで病室に行くよ」と言って先生は行ってしまった。