ただいま。
病院からの帰り道。
俺は先生に言われた言葉をずっと思い出していた。
『これからもう少しだけテストをして、記憶障害があるとわかったら、話が合わないこと、記憶の不一致はこれから2人にとって辛いことになっていくと思うんだ。でも、負けちゃおしまいだからね』
今の状況をちゃんと理解しきれている自信は、ない。
だって、そう。
まだ確実じゃないんだ。
記憶喪失。
そんなもの、あの唯花がなるはずないだろ。
「・・・そう。そんなわけないんだって。あいつも照れ隠しであんな反応して、それで・・・」
俺は何から逃げたいのか。
どうしてそんなことを自分に言い聞かせているのか。
もう頭の中はとっくの昔に真っ白で、むしろその中に強く濃く浮かぶ文字が『記憶喪失』『俺との関係』だけだというのに。
分かってるんだ。
―――え?何を?
俺は何を分かってるんだよ。
―――あいつが、唯花が・・・キオクソウシツだって?