僕らの明日の話をしよう

放課後、荷物をまとめてマフラーを巻いた私に、みちるが首を傾げた。



「あれ? 綾、帰るの? 講習は?」


「うん。実はね、講習受けるのやめにしたんだ」


「え? なんで?」


「家庭教師が来ることになったの」



目をそらしながら嘘をつく。


出来るだけ変わらない生活をしていたかったけれど、段々身体がつらくなってきた。

貧血症状は相変わらずで、疲労感が常につきまとっている。


見かねたお母さんに、とうとう講習だけでもいいからやめなさいと言われてしまった。


自分でも限界は感じてたから、仕方ないんだけど……。


こうやってこれからひとつひとつ、
自分の中の“当たり前”や“普通”を捨てていかなくちゃいけないのか。


そう思うとひどくやるせない。
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