秘密の歌は俺へのエール
ー夏日sideー


「はぁ~…」

「朝っぱらから特大のため息ついて、今日一日の運気が逃げるぞー」


彼女は黒沢 七美(くろさわ ななみ)。

可愛くて優しくて頭もよくてモテまくりで…

ほんと私にはもったいない程の一番の親友(笑


「あ、それは勘弁。すーはー」


と言って空気を吸い直す。


「で、ため息の原因は?」

「それはですね…」


自分にもわからない、とは言えない…


「新曲がどうしてもピンとこないっていうか…何かが足りないような…」


私は現役高校生シンガーソングライター。

もちろん知ってるのは七美だけ。

素性は一切公開せず、ただ作って歌う。

私はそれで十分満足してる。

楽しいから。


「足りない?」

「うん。どうしても歌ってるうちになんか寂しくなってきて、泣いちゃうんだよね。」

「ふーん。私に何が足りないかはわからないけど…涙が出るってことは心の隅に置けない感情を夏日が持ってるってことよ。まぁその感情も私にはわからないことだけど…とにかくまだ時間あるんだしのんびり考えな。」

「うん、そうする~ありがと、七美。」

「どういたしまして。」
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