あまのじゃくな彼女【完】

「あ、の・・・」

「どしたの、めぇちゃん?」

不思議そうに、そして心配するように顔を覗き込む舞原さん。

暗闇の奥底に閉じ込められた私は、困ったような悲しいようなそんな顔をしていたと思う。そのまま舞原さんをじっと見つめることしか出来なかった。



「舞さん・・・ごめんなさい」

「え?」

「ごめ・・・」


脱力しきった腕をそっと掴まれると、トンっと肩に手を置かれる。



「舞原さんすみません、吉村さん朝から体調悪かったみたいで。少し休ませてきます」

「あらそうなのぉ?めぇちゃん、水臭いじゃない。私たちのワゴン車使っていいからね!」



舞原さんの指示でアシスタントの人が係長に駆け寄り、機材を載せてきた広いワゴン車まで案内してくれた。
大きな機材を載せてきたそれは、座席を倒せば簡単に大人が横になれる広さだ。





「すみません、すぐ戻るんで」

アシスタントの人に礼を言うと、係長はワゴン車のスライドドアを開けると黙って私を車内へ誘導した。それに黙って従い座席に腰かけると、ようやく肩から係長の手が離れた。


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