You are The One.
「そうね…
でも、こんな私の背中を押してくれたのは…クロエちゃん…かしらね…。」


「…クロエ?」


「えぇ。

私とクロエちゃんのお母さんとは知り合いだったの。さっき気づいたんだけどね…

それで、わざわざ電話してくれてね…

お母さんの勇大君を思う気持ちが本物な限り、絶対勇大君はわかってくれます!

ですって…

ふふ。

根拠も何もないのに、なんだか心強くてね…。

優奈さんにも怒られたし…

はぁ…。

なんだかスッキリしたわ…

ずっと思ってたことが伝えられて…」


「…勝手にスッキリすんなよ。」


「え?」


「……おせぇんだよ。電話くれんの。


お母さん、また電話するから!って出てったくせに、一回もくれねぇし…

ばあちゃんには時々電話してたみたいだけど…
でもばあちゃんから話聞くたび、はっきり言って辛かった。

なんで俺には直接電話してくれねぇんだって…」


「ごめんなさいね…

私、ほんと情けない…」


「…母さん…ありがと…やっと、電話くれて。」


「……。」

母さんはそれからしばらく無言だった。
電話の向こうから微かに鼻をすする音だけが聞こえてくるだけだった。
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