浮気亭主と借金地獄妻(短編)
「眩し…」

邦生は目を覆った。

「あら、ごめんなさい。大丈夫?」

ゆっくりベッドの脇に座りながら葉子は邦生のクシャクシャの髪を撫でた。

「ん…大丈夫だよ」

そう言いながら邦生は他の事を考えていた。


優しく撫でる葉子の手。挽き立てのコーヒーの香り。

最近やけに優しい妻。


(……こんな時は何か有る時…)


邦生はビクビクしていた。

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