猫の世界と私
1.この世界に迷い込んだ少女
気が付くと少女はここにいた。

いつも気が付くと、少女はこの世界に迷い込んでいる。

今回はショートカットにブレザー、ネクタイ、そして無地のスカート。いわゆる制服姿。
前回はセーラ服にセミロングの髪だった。

なぜかこの世界に迷い込むたびに、少女は違う格好をしている。
なぜかは分からない。
そんな迷子を繰り返している内に、少女は自分のことが分からなくなっていった。


覚えているのは、自分が女の子だと言うこと。
名前は結愛(ゆめ)。
年齢は16歳。

自分自身が死んでいることも理解している。


けれど、何が原因で死んだのかは思い出せない。
思い出そうとすればするほど、記憶がボヤけて分からなくなっていく。



「覚えていることと言えば、この世界…」



学校の教室の中。綺麗な朱色に染まった教室は、物悲しい雰囲気を感じさせる。この世界の夕日は、夜を迎えることも、朝を迎えることもない。ずっと、切なく、綺麗な夕日のまま時間が止まっていた。
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