「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
「それで、ギリアスさん、これからどうするつもりなんです?」

「……そうだな。
皆のおかげでいろいろと準備は進んで来たが、事を起こすにはまだ早い。
とりあえず、早急に陛下の居場所をつきとめねばならん。」

「それなら、俺達が…」

「いけません!」

名乗りを上げたケネスをシャーリーが制した。



「なぜです?
これで庭師に化ければ、俺達も城の中を出歩ける筈だ。」

白いシャツを差し出すケネスに、シャーリーは、ゆっくりと首を振る。



「そうはいきません。
あなた方が牢を破ったことが…そして、兵士を殺したことがすでにバレたのです。
城の中を歩くくらいなら知り合いにさえ出会わなければなんとかなるかもしれませんが…もしも、少しでもおかしな振舞いをすれば捕えられ調べられてしまうと思います。
調べられたらもうおしまいです。今、城の中はとても緊迫した状況なのですから。」

シャーリーのその言葉に、男達は口をつぐんだまま、身動き一つ取らなかった。
十分、予想出来たことではあったが、その事実をはっきりと突き付けられると、戸惑う気持ちは意外な程に大きかったのだ。



「……それなら、俺が……」

沈黙を破ったのはセスだった。



「俺が、志願して大臣に取り入ってみよう。
大臣の元で働きたいと自ら名乗り出ればきっと…!」

シャーリーは、黙ったままで首を振った。



「そんな不自然なことが通るわけがありません。
今までそんなことを言って来た者はいませんし、この城に近付いただけで捕えられてしまうというのに、おかしいじゃありませんか。
それに、あなたのことを覚えてる者がいれば、すぐに掴まってしまいます!」

「それなら、こう言うさ!
あの時は事情がよくわからなくて逃げ出したけど、ちょうど金もない所だったからこの城で雇ってほしいってね。
だったら、うまくいくんじゃないか?」

「いいえ…あの大臣はそんな甘い者ではないと思います。
危険ですし、万一、あなたの思惑通りに雇ってもらえたとしても、新米のあなたが陛下のおられる場所を知り得るチャンスはとても少ないと思います。」

「だったら、どうすれば良いっていうんだ!?」

セスの感情的な声に、シャーリーは何かを考えるようにしばし俯き…そして、心が決まったのか毅然とした顔を上げた。



「陛下の居所は……私が探り出します!必ず……」

思いがけないシャーリーの言葉に、皆、息を飲み、呆然と彼女の姿を見つめた。

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