「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
「何を言われるのです!
あなたにそんな危険な真似をさせられるはずがありません!
いや…ロジャーのことですでに大きな危険を冒させてしまったこの私がこんなことを言うのはおかしいかもしれませんが、それでも、もうこれ以上あなたを巻き込む事は出来ません。
あなたには大変良くしていただいた。
この感謝を、私は一生忘れません。
後は、どうかロジャーのことを…それだけをどうかよろしくお願いします!」

シャーリーは真一文字に口を結んだまま、頭を下げたギリアスに向かって首を振る。



「誤解なさらないで下さい。
私は巻き込まれるのでも、あなた方に指示されてやらされるのでもありません。
私は、私の意志で、陛下をお救いしたいと思っているのです。
これまでは……私には事を起こす勇気がなかった…
ですが、あなた方に会って気がついたのです。
ただ、祈るだけでは状況は変えられない。
私には剣を持って闘うことは出来ませんが、それでも他に何か必ず私にも出来る事があるはずだということに…
そして、今、その機会が与えられたのです。」

その瞳を見れば、シャーリーがその気持ちを変えるつもりがないことは、誰の目にも明らかだった。



「……シスター・シャーリー…
……わかりました。
あなたの決心がいかに強いものかということが…
ですが、決してご無理はなさらないで下さい。
あなたの言われた通り、人間には向き不向きが…出来る事と出来ないことがあります。
あなたは神に仕える身…そして、女性だ。
無理のない方法で探りを入れるだけにして下さい。
そして、居所がわかったらすぐに私達にお知らせ下さい。
あなたが陛下のためにすることはそれだけだ。
そして、その後は、私達が無事に陛下を救い出す事を神に祈る事…
シスター・シャーリー…どうか、そのことをお約束下さい。」

シスター・シャーリーは、その言葉に深く頷いた。



「わかりました、ギリアスさん。
お互い協力して、一日も早く陛下をお救い致しましょう!
そして、この国に再び平和を…!」

「もちろんです!」

男達のみつめる中、ギリアスとシャーリーは固い握手を交わした。
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