シャボンの中の天使


大好きなパパに訊かれて、一生懸命、考える葉菜。


しばらく経っても、答える素振りを見せない葉菜に、夫は言った。


「わかんないか?」


こっくり頷く葉菜。


そんな葉菜に、夫は、さっきまで、シャボン玉が浮かんでいた空を見つめ、話し始めた。


「シャボン玉はきっと旅が好きなんだ。


だから、空を飛んで、もっと、遠くに行きたいんだ。


シャボン玉は、すぐに消えてしまうだろ?


だけど、少しでも、遠くに行くために、逃げていくみたいだけど、どこかへ行っちゃうんだよ


葉菜が嫌いなわけじゃない。


シャボン玉さんは、少しでも、遠くの世界を見たいだけなんだ」

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