イージーラブじゃ愛せない
「疲れてたしさ~、俺の席陽当たりいいしさ~、主任の講習つまんないしさ~。しょーがねーじゃん~」
「今日日、高校生でも言わんわ。そんないいワケ」
「だよね。大学受験の時の方がよっぽどキツかったと思うんだけど」
けれどどんなに俺が嘆いても、胡桃も優吾もこれっぽっちも同情してくんない。優しくなーい。
俺は重苦しい息を吐き出すと、定食の唐揚げを1個口に放り込んでから言った。
「もうダメかなあ受かんないかなあ。俺、これ以上研修受けても無駄なんじゃね?」
胡桃は啜っていた味噌汁のお椀を置くと
「筆記で満点取ればなんとかなるんじゃない?後は面談の時に土下座するとか」
とてもサディスティックなアドバイスを俺にくれた。最近、胡桃のこーいう所にゾクゾクするようになってきた俺はマゾに目覚めたかもしんない。
「もーいいや。それでいこ。面談で床に額こすり付けて来よ」
「そんな卑屈な研修聞いたこと無い」
優吾が他人事のように親子丼を口に運びながら言う。優吾もアレだよね、俺に対してわりとサディスティックだよね。でもさすがに男友達にはゾクゾクしないけど。