イージーラブじゃ愛せない



まあ、何はともあれ。そんな先行き暗い感じで始まった4月の研修もあっという間に全日終了し、俺達は3人揃って修了の判子をもらえた。


そうして再び訪れる平凡な日々。時間は着々と流れていく。


けれど、俺がもう辞令で4人離れ離れになる未来を嘆く事はなかった。


何故ってとーぜん、あの夜の事が尾を引いてるから。

胡桃はあの夜突然帰っちゃった事をただの気紛れなんて言ってたけどさ。やっぱウソだよ。だって、あれから胡桃がうちに泊まる回数は目に見えて減っちゃったんだから。

未だに俺は分かんない。何が彼女の逆鱗に触れちゃったのか。だから仕方なくその辺の話題は避けるしかなかった。


俺と胡桃の関係は足踏みしてるように見える。


一緒に飯や飲みに行く。遊びにもいく。キスもセックスもする。ただ、それだけ。そこまで。


仲イイよ。一緒に居てやっぱ楽しいし。でも結局、ふたりの距離は半年前から変わっていない。友達+アルファのまんま。


胡桃の不透明な心は、未だに俺には開かれない。

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