イージーラブじゃ愛せない



「責任感じてる、ジョージくんが落ち込んでる事。だからってワケじゃないけど私で良ければ……慰められないかな」


ふたりで食事行った日の帰りの車で、茜ちゃんは俺にキスをしながらそう言った。

清純そうな顔に似合わないネットリと濃厚なキス。1年前はそのギャップにハマって夢中になったっけ。


薄暗い地下駐車場はおあつらえ向きとでも言うべきか、見事に人目につかず、茜ちゃんは更に大胆に首に腕を回して、唇を深く重ねてきた。


唾液を纏った甘い舌が、俺の口内をなめまかしく探っていく。無音の車内に響くのはいやらしいキスの水音と、角度を変える度に漏れる妖しい吐息。


茜ちゃんは可愛いよ。見た目も女の子らしくて文句ないし性格もいい。清純に見えてけっこーエロいのもかなりいい。

その茜ちゃんがさ、キスしてくれて俺を誘ってるワケですよ。慰めたいって、優しーこと言ってくれちゃって。

これ、断る理由ないよね。

据え膳喰わぬは何とやら。もう俺も正直キテるし、ここまでしてくれた茜ちゃんに恥掻かすワケにもいかないっしょ。


やっぱ恋はイージーラブがいいよ。気持ちいい。ラクちん。なんたってお手軽。

ウジウジ考えなくて済む。面倒くさいこと悩まなくていい。苦しくない、傷付かない。


本気の恋なんて、もう二度と――
 
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