イージーラブじゃ愛せない
「それより茜ちゃん、来週でここの派遣終わりっしょ。その前に飯でも行こうよ、お疲れって事で」
結局、茜ちゃんは特に仲のいい友達とか出来なかったみたい。途中あんな事があったせいで、さすがにもう胡桃やりんりんとは喋り辛くなっちゃったみたいだし。
それって俺のせいもあるし、申し訳なかったなという意味も籠めた食事の誘いだった。
「催事のメンバーも誘おっか。つっても星野さんと南さんと――」
「いいよ、ジョージくんとふたりだけで」
俺の提案を遮って言った茜ちゃんは、まっすぐにこちらを向いてニコリと目を弓なりに微笑ませた。
「あ、そう?じゃそうしよっか。まー星野さんと一緒じゃ消化に悪い飯になりそうだもんなあ」
ヘラリと笑ってそう返すと、茜ちゃんは「もう、星野さんに怒られるよ」なんてクスクスと可愛く笑ったあと、ツンと俺のワイシャツを指先で引っ張り
「楽しみにしてる」
そう告げて、一足先に事務室から出て行った。
その甘えたような行為が何を意味してるかなんて、分からない男はいないと思う。
そんでもって、それは何とか傷を癒そうともがいてる俺にとって、どうしようもなく縋りたくなるような誘いだった。