イージーラブじゃ愛せない
二晩で二人の男と寝て、一日で二人の男に責められる私はもしかしてどうしようもないビッチなんだろうか。
夜の10時。自分の部屋でアニメのDVDを観ながら今日のことを振り返った。
二晩続けて飲み&お泊りだったから、ようやく自宅で自分の時間が持てることにホッとする。缶サワー片手にお気に入りのアニメ【プレジデント☆プリンス】を観て心安らぐ時間を過ごすはずだったのに。
どうしてか私の頭は面倒くさい事ばかり考えてしまう。
せっかく画面の向こうの王子社長が甘い台詞を吐いて微笑んでくれてるのに、いつものようにテンションが上がらない。
ジョージも成瀬先輩も面倒くさい。
男のくせにロマンチックが過ぎるっしょ。女が身体を許したからって=恋人では必ずしも無いワケで。
性欲と恋愛は別だ、なんてのは男の常套句のクセに、女がそれをすると責められるってどういう事さ。
「あーもう、やっかいだなあ」
王子社長の甘い台詞が全然頭に入ってこない。ムカつく。
私はトマトサワーの缶を一気に煽るとDVDのスイッチを乱暴に消し、そのままベッドへ倒れこんだ。
二日ぶりの自分のベッドの感触に安堵する。
……そーいえば、ジョージのベッドはマットレス固くて寝心地悪かったな。
過ってしまったどうでもいい情報を必死に頭から追い出し、私は堅く目を瞑って眠りに落ちた。