イージーラブじゃ愛せない
倉庫からコタツ用天板の在庫を持って売り場に戻ると、催事部門リーダーの星野さんが俺を待っていた。
「遅いぞ高倉。今日中に新しいの全部組み立てて売り場完成させないと帰れないからな」
「マジっすか」
相変わらずうちのリーダーはキツい。体育会系と云うか親分肌と云うか。男の部下に対しては手加減無しにこき使うし、部下はリーダーに絶対服従だ。
ただまあ。星野さんは抜群に面倒見のいい性格でもあって、目を掛けてもらってる俺としては、この人キライじゃない。
だから今日も。フルスピードでコタツを組み立てては展示スペースを作っていく俺に
「だいぶ手際良くなってきたな」
なんて、ボソリと嬉しいことを言ってくれたり。
単純な俺は褒められた事が嬉しくてますます張り切る。そうしてなんとか終業時間前に5台のコタツを組み立てそれぞれにスペースを作り終える事が出来た。やるじゃん、俺。
ホッと一息つくと同時に店内に流れていた閉店案内が途切れ、営業用の照明が消えていく。
今日も無事に業務が終了したなーと思いながら梱包材のゴミを集めていると
「高倉。お前、今年で3年目だっけか」
片づけを手伝いながら星野さんが話しかけてきた。