イージーラブじゃ愛せない
もしかしたら胡桃は俺を避けて今日は来ないかも、と心配したけれど。りんりんを通し誘ったことで、彼女はすんなりと飲み会に来てくれた。
胡桃はりんりんの事大好きだからなー。りんりんの頼みや誘いなら、胡桃はなんのかんの断らないもんな。
そうしていつものように俺の隣の席へ座ってくれた事に、本気でホッとしていた。
「柴木ちゃんは?試験受けんの?」
尋ねた俺に、胡桃はチラとこちらを見やってから
「受けるよ。私はずっとここで平社員やってても仕方ないし」
とても当たり前のことの様にそう答える。
「ジョージだって受けんでしょ?」
「もちろん。俺、社長の椅子狙ってっから」
「じゃあ私は会長になってあんたを解雇しよう」
「マジこええ」
キッついながらも、いつものようにジョークをかましてくれる胡桃の言葉が嬉しい。多分、泣いてしまったりんりんを励まそうと明るく振舞ってるんだろうけど。
胡桃とビミョーな関係になってしまっても、4人でいるなら元に戻れるような錯覚を覚えてしまう。……って、俺、なんかズルイかな。
けど。
「……じゃあいつかはみんなバラバラになっちゃうんだね」
鼻をかんでから呟いたりんりんの言葉が、俺のズルさを倍にして寂しさに変えた。