イージーラブじゃ愛せない


数週間ぶりに訪れたジョージの部屋は、前に来たときよりちょっとはマシに片付けられていた。


「テキトーに座って。あ、酒飲むよね。グラスいる?」


お言葉に甘え、ローテーブルの前のクッションに腰を降ろし、歯ブラシやなんかと一緒に買ってきた缶サワーを早速あけた。


「先飲んでて。俺、荷物とか片しちゃうから」


テーブルにグラスを置いていったジョージは、持ち帰った釣具やバーベキューの道具やらをドタバタと玄関やベランダに片付ける。


「落ち着かない。私も手伝うよ」

「いいからいいから。胡桃は大事なお客さんなんだから座っててよ」


そう言って立ちかけた私を座らせてニッコリ笑うジョージは本当によく尽くす嫁さんみたいだ。ついでにグラスにサワーを継ぎ足して行きおった。甲斐甲斐しい。


仕方なく私は動き回るジョージを横目に、勝手にテレビをつけた。どうでもいいバラエティを観ながら後ろのベッドにもたれ掛かる。

チビチビとトマトサワーを飲みながらキッチンの奥にクーラーボックスを収納してるジョージの背中を盗み見た。


あんたが誘ったくせに。早く来なさいよ。あんまり待たせると退屈で寝ちゃうからね。

なんて、至極ワガママな事を思いながら。

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