黄昏の特等席
待っている間は暇なので、エメラルドが戻るまで本を読むことにして、本を選ぶことを開始する。
 時間を気にせずにグレイスが本を読むことに夢中になっていると、ドアが開いたことにもエメラルドがスープを持ってきたことにも気づかなかった。

「・・・・・・アクア」
「あ・・・・・・」

 エメラルドに険しい顔で見下ろされ、静かに本を閉じた。

「・・・・・・どうして大人しくしていられないんだ?」
「だって・・・・・・」

 グレイスが読んでいた本はお気に入りの本で、何度も読んでいるから内容をしっかり記憶している。

「何度も読んでいるだろう?」
「飽きないもの・・・・・・」

 それに退屈だったから、つい読んでしまった。
 エメラルドはグレイスから本をそっと取り、熱々のスープをスプーンで掬う。

「これ、前にも飲んだことがあるものだよね?」
「ああ。このスープも好きだろ?」
「うん」

 スープを口に入れると、やはり熱くて、手で口を押さえた。

「もう少し冷ませば良かったな・・・・・・」
「ううん、平気・・・・・・」

 エメラルドはグレイスの口に少しだけ冷ましたスープを運ぼうとする。

「どうぞ」
「やめて・・・・・・」
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