恋するリスク
「これ、藤崎さんに似合いそうですよ。」

スクエアネックの真っ白なワンピース。

リネン素材が涼しげだ。

シンプルではあるものの、袖口と裾が透かしレースになっていて、やっぱりとてもかわいらしい。

「う、うーん・・・。」

考え込む私の横に、すかさず店員さんが現れた。

「着てみますか?お似合いになると思いますよ。」

にこにこした店員さんとともに、佐藤くんも笑顔で頷く。

2人の期待に満ちた目に逆らえず、私はとりあえずそれを着てみることにした。


(う・・・やっぱり、似合わない気がする・・・。)


試着室に入って着替えたものの、鏡の中の自分に、私はなんともいえない違和感を覚える。

そのまま脱いでしまおうかと思ったけれど、「いかがですか」という店員さんの声が聞こえ、私はおずおずと試着室のカーテンを開けた。

「わ、めちゃくちゃかわいいじゃないですか。」

私を見るなり、佐藤くんが嬉しそうに目を細める。

「本当に!お客様が着ると、上品な感じになりますね。」

「かわいい」「似合う」と褒め殺しに会った私は、自分の判断能力が急低下し、結局、そのワンピースをそのまま着ていくことにした。





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