恋するリスク
年上の人に褒められても、ここまで恥ずかしくはならない気がする。

けれど、年下男子に言われると、気恥ずかしいことこの上ない。

「・・・佐藤くんは、おだてるのが上手いんだから。」

照れ隠しにそう言うと、佐藤くんはピタリと止まり、私をまっすぐ見据えてきた。

「もしかして、社交辞令だと思ってますか?」

落ち着いた低い声。

熱を帯びた彼の瞳に、私の胸はドキンと鳴った。

佐藤くんのことを見れなくて、私はさっと目をそらす。

「・・・えっと・・・半々・・・。」

視線を泳がせ、私は微妙な答えを返す。

「確かに、仕事上で社交辞令を言うこともありますけど。

藤崎さんに言ってるのは、全部、本気です。」

普段と違う真剣な表情。

私はドキドキしながらも、じっと耳を傾ける。

「言っておくと・・・オレは、結構前から、藤崎さんのことが好きでした。」

思いがけない告白に、言葉にならない疑問が洩れる。

「覚えてないと思いますけど。

初めて営業で横羽病院に行ったとき、オレ、先生たちに話しかけることすら出来なかったんです。

いつも忙しそうで、タイミングもわからなくて。

医局の前行ったり来たりして、ただ邪魔なだけの状態で。」

その頃を思い出すように、佐藤くんは苦笑する。

「でも、そんなオレに、藤崎さん、話しかけてきてくれたんですよ。」

「え?私?」






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