恋するリスク
「はい。「新人さん、話しかけにくい?」って。

・・・ちょっと情けなくて、恥ずかしかったですけど。

看護師さんたちもいつも忙しそうで素通りされてたので、あの時はかなり嬉しくて。

藤崎さん、百瀬先生に声かけて、オレが話しやすいようにしてくれたんですよ。

また社交辞令だと思われそうですけど・・・。

本当に、白衣の天使に見えました。」

「ええっ!?」


(それは本当に言い過ぎじゃ・・・。)


患者さんにだって、言われたことはない言葉。

恥ずかしいを通り越して、笑ってしまいそうになる。

「もう、またそういう・・・。」

そう言って流してしまおうと思ったのに、真剣なまなざしとぶつかって、私はきゅっと口を結んだ。

「・・・キレイでやさしい人だなって、ほぼ・・・一目惚れです。

当然、彼氏はいるだろうと思ったし、オレはそんな感じでヘタレてたし。

相手にされるわけないかって思いながら、やっぱり気になって・・・ずっと、憧れてました。

・・・まあ、本気で好きだと思ったのは、藤崎さんが酔って泣いてるのを見たときかな。

オレが、守りたいと思った。」

全ての時が止まる。

感情が、甘く、鈍く溶けていく。

足元の砂が風でさらさらと揺れた。

それからしばらく私は、その場を動くことが出来なかった。






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